志村けんさんの訃報

　昨日、タレントの志村けんさんがコロナウイルスにより亡くなられました。
入院中はかなり危険な状態のようでしたが、最新の治療を受けておられるとも聞いていたので、最終的には回復されるのではないかと思っていました。
そのため、死去の報道を聞いた時にはとてもショックでした。
　

志村さんの死と日本人の危機意識

　今までも日本国内でコロナウイルスの感染により死亡した人の報道はありました。
それでも全く知らない人のことなので、何となく他人事のように感じていたのは否定できません。
　

　しかし、志村さんの場合は一方的と言えども知っている人であり、全国的に有名人です。
特に私の年代だとドリフターズの新メンバーとしてデビューした時から知っています。
その頃はブルース・リーの真似などをしており、子供たちには大人気を博していました。
しかしそのバカバカしさから、保護者には「教育上良くない」と疎まれることもあったように覚えています。
それでもその後、髭ダンスや変なおじさん、バカ殿などのキャラで人気を不動のものにし、老若男女を問わず多くの人に親しまれるようになったと思います。
　

　それだけに今回の訃報には多くの人がショックを受けたことでしょう。
自粛疲れで何となく気が緩んでいた人達の気持ちが、改めて引き締まったように感じます。
　

　私がこの訃報を知ったのは、娘の通院に付き添っていた時です。
院内は混んでいたので、車内で待機していた時にネットで知りました。
恐らく今頃はテレビの番組で志村さんの死を悼んでいることだろうと想像出来ました。
　

　調剤薬局で薬を待っている時にテレビを放映していました。
お昼の時間帯だったので、ワイドショー的な情報番組のようでした。
既に志村さんの話題は終わったのか、それとも始めからしていないのか分かりません。
ある程度名の知られていると思われるタレント数名が、東京か神奈川の観光スポットの紹介をしていました。
　

　たとえ志村さんの追悼が終わったのだとしても、この内容にとても違和感を覚えました。
なぜ今の時期に不要不急の外出を誘発するようなものを放映するのでしょうか。
むしろ、外出しなくても楽しめるような内容にすることが、今のマスコミに求められているはずです。
　

　「日本人は世界で最も衛生観念が高い国だから、他国のようには感染が広がらない」と説く人は多いようです。
また最近ではBCGワクチンがコロナウイルスに効果があるとの説が出始めて「BCG予防接種を受けているから日本人は安心」という人もいます。
でもそれらは今の所全て仮説です。
安心材料として気を緩めるのは早すぎます。
　

　人間は自分にとって都合の良い情報ばかりを集めて安心したがるものです。
今の日本人は自らその状態に落ち着こうとしているように感じます。
日本人にとって都合の良い仮説が真実だとしても、感染して死んでいる日本人がいることも真実です。
　

　「自分が感染して死ぬはずはない」というのは永遠の仮説にすぎません。
志村さんの死はそのことを教えてくれたように思います。
志村さんには子供の頃からたくさん笑わせてもらいました。
ご冥福をお祈りいたします。