そっくり人形作りの公式

　本人にそっくりな人形を作ることにどのような意味があるのでしょうか。作る目的は人それぞれだと思います。今の時期なら卒業や入学、退職、就職、異動などの記念としてという人も多いようです。自分のコレクションの１つにという人もいるでしょうし、故人を偲んでという人も。どのような目的だとしてもその時の本人の姿を人形という形で記憶に留めることになるのは皆同じです。
　

記憶に留めるということ

　昨夜は久し振りに友人家族が遊びに来ました。以前は両家の子供たちの誕生日を迎える度に毎回パーティーを欠かさず行っていたのですが、ここ2年程はお互いの高校受験が続いたこともあり合う機会がありませんでした。2年ぶりに合うとお互いの子供たちの成長ぶりに驚きます。
　

　我々親世代がまだ皆独身だった時に知り合った頃の話に花が咲きました。あの頃からもう20年も経つのかと思うと時の流れの速さにも驚きます。感覚的にはまだほんの少し前という感じです。この先の20年はもっと速いのかも、と思うと何故かのんびりとしているわけにはいかないという焦りにも似た思いを抱きます。残された時間で自分には何が出来るのだろうか、そんなことも考えたりします。
　

　人間の記憶の容量は意外と少ないようで、この20年は楽しいことがとても多く幸せな日々が続いていたはずなのですが、その中で思い起こせるのは大した量ではありません。特に私は記憶量が少ないようです。あれだけ大事に大切に育ててきた我が子のことでも写真やビデオを頼りにしないとなかなか鮮明には思い出せなくなっています。写真が無かった時代の人たちはそのような記憶はどうやって留めていたのでしょうか。我が子との大事な思い出が子供の成長と共に薄れてしまうのは仕方がないことだったのだと思います。
　

　ただ、写真は無くても絵で残すことは出来ます。そして人形としても。そうして記憶に留めていた人はいたと思います。そう考えるとそっくり人形は歴史のあるものだと言えるのかもしれません。