そっくり人形作りの公式

　人形に限らず物作りをしていると〝もう少しここを何とかできないか〟と思うことはよくあるのではないでしょうか。私はしょっちゅうあります。そう思うとその解決策をいろいろと考えます。しかし名案は浮かばないまま時ばかりが過ぎて行く。それもよくあることだと思います。
　

理想の追求は是か非か

　自分の理想通りのものを作る、それは大事なことです。しかしそんな簡単に出来ることではありません。実際に作れるものは理想とは違っている、でも今はそれを作るしかない。それしか作れないのですから。もしかしたら一生掛かっても理想通りには作れないかもしれません。だとしたらそこに拘るのではなく、自分に出来るものをしっかりと作るしかないと思います。
　

　ただ、どうせ頑張っても理想のものは出来ないのだから、それを追求するのは止めた、となるのはどうなのでしょうか。そうなったら今作っているものも進歩しなくなる気がします。〝もっと良いものを作りたい〟と思って作るのと〝このくらいで良いだろう〟と思って作るのでは、同じ人が同じものを作っても完成度の高さは違ってくるように思います。それは制作者の見る目、すなわち評価レベルが違うからです。スポーツ選手が現状に満足してしまうとそれまでと同じようにプレイしているはずなのに成績が落ちていくのはそういうことだと思います。
　

　理想を追求すると言っても頭の中で考えているだけでは実現しません。思い付いたことを実際に試す時間をどこかで作らないといけないのです。スポーツ選手は試合だけでなく練習にも時間を割きます。我々物作りの人間も注文をこなすだけでなく自分の技術を磨いたり新たな技法を身に付ける時間を設けることが大事だと思います。
　

　1日は24時間。誰にも平等に与えられています。でも仕事ばかりに使ってはいられません。仕事以外にもやらなければいけないこと、やりたいことがあります。睡眠も大事です。しっかり寝て頭をすっきりさせることで良い発想が生まれます。家族との時間も大事。運動も大事。・・・限られた時間をどう使うか。悩ましい問題です。