そっくり人形作りの公式

　通販で購入した商品が思っていたようなものではなくがっかりした。そういう経験をしたことのある人は結構多いのではないでしょうか。実際に手に取って確かめることが出来ないと不安であると同時に期待も大きいという思いが交錯するものです。もしかしたら期待したほどのものではないかもしれないというのは想定内のはずですが本当に期待外れだった時はひどく落胆するのです。人間の心理とは複雑ですね。
　

期待外れの補償はあるのか

　〝期待外れだった時は返品可能です〟という補償があればうれしいですが、なかなかそのような商品はありません。ただ最近は発毛剤に〝1か月ご使用いただいて効果を感じられなかった場合には全額返金いたします〟のような広告を見かけます。これってすごいなと思います。それほど商品に自信があるのでしょうか。似たような広告を打っている発毛剤はいくつかあるようなので日本の発毛剤はかなり優秀のようです。しかし医学界ではそのような商品の発毛効果を認めてはいないようです。ただ、認めないのは医学界が民間の知恵を認めたくないと意地になっているだけなのかもしれませんけど。こっそり使用している医者も結構いる気がします。本当に発毛するのならぜひ私も使用したいです。最近かなり薄くなってきていますので。
　

　気になるのは実際にどのくらいの人が返金を請求しているのかということ。購入者全員が本当に発毛効果を感じているとは考えにくいです。僅か1か月で100%の人が発毛するのなら恐らくノーベル賞級の発明でしょう。それだけ抜け毛に悩んでいる男性は多いのです。むしろ実際に発毛したと感じている人は僅かで、それも何となくという程度の思い込みなのではないでしょうか。なにしろ1か月という期間ですから効果を感じるには短すぎると思います。だとしたら本来ほとんどの購入者が返金請求しても良いのではないかと思うのですが、同じ広告を長期間出しているところを見ると請求している人は僅かなのでしょう。
　

　これは人間、特に日本人の心理をうまく突いた商法であるように感じます。〝返金してもらうほどの金額ではない〟〝信じた自分が馬鹿だった〟〝使っちゃったのだから返してもらうのは申し訳ない〟等。更には〝もう少し使い続ければ効果があるのかもしれない〟と継続して購入する人もいることでしょう。特に私個人のことを言うと、薄毛で悩んでいること自体が男として何となく小者であるように感じているのに返金まで請求するなんてどこまで自分は小者なんだと思っちゃいます。
　

　こうなることを予測しての補償だとしたら果たして補償になっているのかなぁと思います。補償という名の宣伝だと言えそうです。（本当に発毛効果があるのだったらこんなこと言って申し訳ありません。使ってもいない私がこのような生意気なことを言ってはいけないのかもしれません。）
　

　ただこの補償があることの最大の利点はお客様が自分自身で納得出来るということではないでしょうか。もしもこの補償がなければ効果を感じなかったお客様は不満のやり場が無くなりクレームになることも予想されます。返金保証がある、それを利用するかどうかはお客様次第です。自分には返金してもらう権利がある、けれど売りっぱなしではないというメーカーの誠実さを感じる、ならばまあ今回は許してやろう、俺は太っ腹だから、で終わることが出来れば大した不満になりません。むしろ笑い話として友人にカミングアウトできるかも。何事も笑顔で終われるのが一番です。たとえ宣伝目的でも返金保証があるというのは良いことだと思います。