天使のささやきの日

　今日2月17日は天使のささやきの日です。
天使の囁き記念日とも言われるようです。
この名称だけ聞いても何のことだか分かりません。
　

　1978年（昭和53年）の今日、北海道幌加内町母子里（ほろかないちょうもしり）で国内最低気温のマイナス41.2℃を記録しました。
このことが由来となり、1994年（平成6年）にこの記念日が制定されたのです。
ちなみにこの記録は気象庁の公式記録対象から外れており、非公式となっています。
　

天使のささやきとは

では、天使のささやきとは最低気温のことでしょうか。
そうではありません。
実はダイヤモンドダストのことなのです。
水蒸気が凍って出来る氷の結晶です。
晴れたスキー場でキラキラ輝いているのを見たことがある人もいると思います。
　

　ダイヤモンドダストは特別な気象条件の下で現れる自然現象です。
条件とは、氷点下10℃以下の快晴の早朝で、無風、そして湿度が高い時です。
これらが揃うと、水蒸気が急速に冷やされて氷の粒になり、空気中で舞い散ります。
そして朝日に反射してキラキラと光り輝くのです。
その神秘的な雰囲気から天使のささやきと名付けられました。
　

天使と悪魔

　その情景を思い浮かべると、とてもロマンチックです。
特に女性はキラキラと輝くものが好きなようなので、一度は見てみたいと思うことでしょう。
　

　ただ現実的に考えると、単に細かい氷が浮遊しているだけです。
天使とは一切関係ない現象です。
それなのになぜ天使のささやきと呼ぶのでしょうか。
ダイヤモンドダストが見える時に何か声でも聞こえるのだとしたら、ちょっと怖いです。
　

　ワインやウイスキーなどの製造工程で、熟成中に水分やアルコールが蒸発して量が目減りする分を「天使の取り分（天使の分け前）」と呼びます。
それも何となくロマンチックに聞こえます。
製造が始まった頃は、なぜ減るのか分からなかったからそう呼ばれたのかもしれません。
　

　このように、神秘的な現象は天使に関連付けておくと良いようです。
物理的に不思議ではない自然現象でも「天使の…」と呼ぶだけでロマンチックな印象を与えることが出来ます。
　

　もしもこれらを「悪魔の…」と呼んでいたらどうでしょうか。
同じ現象でも全く逆の印象になります。
極寒の朝にダイヤモンドダストを見てしまったら大変です。
不吉な予感に襲われて、更に寒さが増すでしょう。
凍死しないうちに早く逃げましょう。