とんちの日

　今日1月9日はとんちの日です。「いっ(1)きゅう(9)さん（一休さん）」の語呂合わせからきていることは、すぐに推測できますね。
　

　とんちで有名な一休さんは、一休宗純という室町時代中期に実在した臨済宗の僧侶です。自由奔放に行動する、僧侶らしくないかなり破天荒な人物だったようです。一休さんの逸話として知られるとんち話の多くは、後の時代の創作であるとの説が有力なのだそうです。ただ、「このはし渡るべからず」などいくつかは本当のようで、そのようなエピソードがあったからこそ創作話が娯楽として楽しまれるようになったのでしょう。
　

とんちと男女差

　とんちの日は「クイズの日」とも言われるそうです。しかし、とんちとクイズは違います。クイズは問題で、常に正解が用意されているのが普通です。それに比べてとんちは「とっさの時にすばやく働く知恵」のことで、あらかじめ正解が用意されていることはありません。「このはし渡るべからず」と書かれた立札を見てどう行動するかは人それぞれです。「その時一休さんはどうしたか」と問うとクイズになりますが、橋の真ん中を堂々と渡りその場をしのいだのは一休さんの知恵ですから、それ自体はとんちです。
　

　とんちを働かすには既成概念にとらわれない柔軟な発想や頭の回転の速さが必要です。これは意外と男性よりも女性の方が得意なのではないかと思います。男性は論理的な傾向が強いので、理屈で物事を考えていきます。そうするとどうしても頭が固くなり過去のデータや常識を重要視してしまいます。それは大事なことなのですが、必ずどこかで行き詰ります。とんちは行き詰った時にこそ必要です。女性は理屈よりも感性を大事にしているように感じます。それは男性よりもファッションに関心が強いという面に表れています。
　

　料理にしてもそうです。女性は冷蔵庫にある残り物を上手く利用して美味しく作ることが得意です。男性はレシピに忠実に作ることは出来ますが、残り物で作るとなると悩むことは多いです。「とんかつ用」と書かれた肉があったらとんかつしか作ってはいけないと思ってしまうのです。その時にパン粉を切らしていたら「作れない…」ということになります。そんな私は妻や娘たちによく笑われます。
　

　既成概念にとらわれない柔軟な発想は物作りには必須です。近年、女性の社会進出が目覚ましいのは、日本にとって良いことのように思います。女性の柔軟な発想を生かして物作りに励めば、日本の未来は明るいでしょう。男性は女性のサポートに周り、冷蔵庫の中の残り物でおいしい料理を作る努力をしましょう。でもやっぱりとんかつ用の肉はとんかつで食べたいと思います。