季節外れのモスキート

　昨日の未明、就寝中に手のかゆみで目覚めました。右手の小指付け根と左手の手首外側がかゆいのです。気のせいかなと思い、寝ぼけながら掻いていると他もかゆくなってきました。どうにもならず眠れなくなり、時計を見ると午前2時30分過ぎです。起きるにはまだ早すぎる、けれども眠れない、そのような状況になりました。
　

蚊との出会いと別れ

　かゆみの原因は何だろう、と布団に包まりながら考えました。何度考えても頭に浮かぶのはただ一つ、そう、モスキート、蚊です。でも今は11月中旬。いくら何でもこの時期に蚊はいないだろう、そう自分で否定しますが、やはりこのかゆみは蚊に刺されたかゆみです。私の長い人生経験においてはそうとしか思えません。布団から出ていたのは頭と手だけです。手が刺されても不思議ではない状況でした。
　

　かゆみが治まらないことには眠れそうもないし、本当に蚊なのかを確かめるために一旦起きることにしました。1階のリビングに降り照明を点けて手を見ると、間違いなく蚊に刺された跡が残っています。それも左右の手に2か所ずつ計4か所も。すぐにかゆみ止めを塗りましたが、それでもなかなか治まりません。ついボリボリ掻いてしまいます。
　

　2階の寝室にはまだ蚊がいるのは確実です。寝室には私以外にも妻と息子が寝ています（息子は中学1年ですが、部屋数が足りないため、まだ自分の部屋がありません。）。皆刺されているかもしれません。もう1か月以上も前に片付けた蚊取り器を押入れから出してセットし、再度布団に入りました。
　

　耳元でブ~ンと蚊の飛ぶ音が聞こえたので、手で追い払ったことは覚えています。その後、かゆみが少し治まってきたことでいつの間にか眠っていました。
　

　朝になって蚊取り器がセットしてあるのを見た妻が驚いていました。妻も息子も刺されていません。刺されたのは私だけ、それも4か所も、です。同じ部屋で寝ていたのに私だけ刺されたのは二酸化炭素の排出量がかなり多かったからだと思われます。地球温暖化の原因の一人と言われても仕方がありません。缶ビール350㎖1本を飲んだのがいけなかったようです。
　

　布団を畳むときに、息子の掛け布団の上に蚊が横たわっている姿を発見しました。手に取ると僅かに動きます。死んではいませんが、あと僅かな命であることは明白です。どうやら蚊取り器の効果のようです。蚊取り器によって命を落とす蚊を実際にこの目で見るのは初めてでした。今まで蚊取り器の効果には半信半疑でしたが、効果があることが分かりました。長い人生での初めての体験にとても感動します。妻と子供たちにも見せました。
　

　まだ命はありますが、もうじき死ぬことは確実です。無駄な延命は意味が無いと思い、手の上でティッシュに包んで潰しました。すると私のものと思われる真っ赤な血が現れました。その瞬間、その蚊に何故だか愛着が湧きました。何とも不思議な感覚です。季節外れの時期に現れた蚊は、私との出会いによりその人生を終えたことに後悔はしていないのだろうか、何となくそんなことを思ったのでした。