「大正」改元の日

　1912年（明治45年／大正元年）の今日、明治天皇が崩御されて、皇太子の嘉仁（よしひと）親王が新天皇に即位されました。それに伴い、元号も明治から大正に変わったのです。
　

　大正の由来は、中国儒教の経典である「易経」の〝大亨以正、天之道也（大いに亨りて以て正しきは、天の道なり）〟から2文字を取ったものです。この意味は〝政（まつりごと）を執り行う人が、民の意見や言葉を喜んで聞き入れるならば、政は正しく行われる〟ということです。現在の政治家には耳の痛い話かもしれません。
　

　大正は僅か15年間でしたが、激動の時代とも言われています。1914年（大正3年）に開戦した第一次世界大戦での参戦や1923年（大正12年）9月1日に関東大震災の発生など、国民には苦難の多い時代だったようです。
　

　ちなみに「昭和」改元の日は1926年（大正15年／昭和元年）12月25日、「平成」改元の日は1989年（昭和64年／平成元年）1月8日です。どちらも1年のうちのかなり端っこです。昭和元年も昭和64年も僅か7日間だけです。昭和は実質62年間ということになります。
　

大正生まれの母

　私の母は大正14年生まれです。そのせいか、大正と聞くとまっさきに母のことを思い出します。母は私を生むときは今でいう高齢出産だったので、同級生の親よりも年齢が上です。そのため授業参観では何となく恥ずかしかった記憶があります。特に友達の親の多くは洋服でしたが、私の母は着物で来ることが多く、余計に目立っているように感じました。今は小学校の授業参観には普段着で行くのが当たり前ですが、当時はいわゆる〝よそゆき〟の服でおしゃれをしていました。友達の親は皆若くてきれいなのに私の母は年寄りで古臭く見えたのです。
　

　母はとても優しい人でした。母に厳しく叱られた記憶はありません。思い返せば、私にはいつも笑顔で接してくれていたように思います。その母が他界して18年経ちました。月日が経つのは早いものだなとつくづく思います。私の今の幸せがあるのは間違いなく母のお陰です。