セルフメディケーションの日

　今日7月24日はセルフメディケーションの日です。と言われても〝セルフメディケーションって何？〟って思う人も多いことでしょう。世界保健機関（WTO）ではセルフメディケーションとは〝自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てをすること〟と定義しています。
　

　平均寿命が伸び続けている現在、どのようにして健康を保つかが大きな課題となっています。また、国民医療費の増加も社会問題となっています。そこでこのセルフメディケーションの考え方が重要になっているのです。
　

自らの判断で手当てするというリスク

　セルフメディケーションは、身体の不調を感じたら自分で軽重を判断し軽いと思えばOTC医薬品（ドラッグストアで売られている一般用医薬品）を使って手当てしましょうということです。風邪をひいたと感じたら市販の風邪薬を飲むというようなことです。要は安易に医療機関を受診しないで自分で治せるものは治しましょうという趣旨のようです。
　

　国民がこのように行動することで国の医療保険費が抑制されるとともに、医師の労働時間の削減や真に医療を必要としている患者へのマンパワーの充実などが期待できます。それはとても良いことだと思います。
　

　身体に不調を感じるとすぐに医療機関に掛かる人とすぐには受診せずに我慢する人とに分かれます。セルフメディケーションが必要な人は前者のタイプです。後者のタイプの人は自分で〝これくらいなら大丈夫〟と判断してしまう人なので、すでにセルフメディケーションを行っていると言えると思います。その人たちの内には適正に判断出来ている人はたくさんいるでしょう。受診しないで放っておいたり市販薬を服用したりして、多くの場合はそれで不調が改善されているのだと思います。
　

　しかし、自己判断で間違った治療を継続して（あるいは全く治療せずに）体調不良を悪化させてしまうというリスクは常に存在します。自分の判断が正しいのか間違っているのかはすぐには分かりません。なかなか改善されないことで不安を感じ、医療機関を受診してみると〝なんでもっと早く受診しなかったのですか？〟などとお叱りを受けてしまうこともありそうです。
　

　医者でも誤診があるのですから素人の自己判断は危険です。そもそも受診するのは自分の不調の軽重を知りたいという思いもあるのです。〝インフルエンザかもしれない〟と思って受診したら〝ただの風邪です〟と言われて安心した経験がある人は多いでしょう。〝ただの風邪だろう〟と思って受診せずに出勤して職場にインフルエンザウイルスを撒き散らしてしまったら一大事です。
　

　自分で治せるかどうか判断できない人や判断に自信が無い人が受診するのです。そういう人にセルフメディケーションを勧めても不安を高めるだけのように感じます。特に高齢者は単なる風邪でも放っておくと悪化させる危険があるので、ちょっとした不調でも受診を勧めた方が良いと思います。