サイボーグ009の日

　今日7月19日はサイボーグ009の日です。サイボーグ009は萬画家石ノ森章太郎の代表作の一つです。1964年（昭和39年）の今日、週刊少年キングでサイボーグ009の連載が開始されたのを記念して株式会社石森プロが制定しました。
　

　石ノ森章太郎は萬画家であって漫画家ではありません。漫画が社会に受け入れられていくに従って、面白おかしいだけではない様々な性格を持つようになってきたことで、従来の〝漫画〟ではその多様性を表現しきれないと考えた石ノ森章太郎が1989年（平成元年）に〝萬画宣言〟をし、自ら〝萬画家〟と称するようになったそうです。
　

009に込められた思い

　サイボーグ009は漫画雑誌ではなくテレビアニメで見ていた記憶があります。ストーリーはあまり覚えていませんが、国籍の違う9人のサイボーグがそれぞれに備わった能力を活かして悪と戦うという内容であったと思います。
　

　そこで今回改めてストーリーを調べてみたところ、サイボーグ戦士たちは全員が悪の組織ブラックゴーストに拉致されて強制的にサイボーグとして改造されたということを知りました。当時は知っていたのかもしれませんが、特に気にしていなかったのでしょう。しかし、今そのことを聞くと何ともショッキングな話です。北朝鮮による拉致を彷彿とさせられます。もしも自分が拉致されたらと考えるとその恐怖に震えます。そして拉致された子供の親御さんの気持ちを考えると何ともいたたまれません。
　

　サイボーグ9人と改造を手掛けた博士が共にブラックゴーストを抜け出して正義のために戦うことになるのですが、もともとは悪の組織の一員だったわけです。デビルマンもタイガーマスクなども悪の組織に属していた主人公が造反してヒーローとなって戦うというストーリーですが、それらの先駆けともいえます。
　

　国籍の違う9人が協力して世界平和を目指して悪と戦うというところは他の漫画にはない大きな特徴です。また、人間を基にして自らの意志ではなく改造されたサイボーグということで、人間とロボットの狭間の中途半端な存在であり、更には悪事を目的に生まれた存在であるという葛藤も描かれているようです。その辺りに石ノ森章太郎の思いが感じ取れる気がします。
　

　009を見ていた当時はそのようなことは気にしていなかったと思います。009の島村ジョーがカッコよかったことばかりが印象に残っています。とにかくテレビでアニメ（当時はアニメなどという言葉はなかったと思います）を見られるだけで幸せだった、そんな時代だったのです。