そっくり人形作りの公式

　物を作ろうと思ったときに悩むことの１つに素材選びがあります。料理に例えるとメニューを決めたけどレシピが分からないからどんな材料をどれくらい使ったら良いのだろうかと悩むようなものです。レシピ（マニュアル）があれば困りませんが誰も作ったことが無いようなものの場合はレシピは手に入りません。また、レシピがあったとしても材料が高価だと我が家では作れません。何か代替品を考える必要があります。
　

物作りはトライ&エラー

　プラモデルのように全て決められた手順通りに組み立てれば完成するものならば問題ありません。しかしプラモデルと同じようなものを自分で１から作ろうと思ったら、まずは何を使って作るのかを考えます。厚紙で作るのか、それともプラ板、粘土、木材等、選択肢はいろいろとあります。また、組み立てにはテープを使うのか、専用の接着剤か、ホチキスか等、構造上必要な材料にも多くの選択肢があります。自分の技術や予算、持っている工具等を考慮して答えを出すことでしょう。
　

　それで実際に作ってみて思ったようなものにならない時は改めて各部分の材料の見直しをします。そうやってトライ&エラーを繰り返し少しずつ自分なりの作り方を身に付けていきます。そして念願の完成に至ります。しかし、それで喜ぶのはまだ早いのです。
　

　料理であれば完成後に食べて〝おいしかったね（時にはおいしくなかった、ということも…）〟で終わります。でも物作りの場合は完成後にそれで遊んでいると簡単に壊れたということは良くある話です。完成はしたけど不良品だったということです。子供の夏休みの工作に良くありそうです。料理でもまれにですが食後に腹痛を起こしますね。そうなると改めて材料や構造の見直しをすることになります。そのように更に良いものを作ろうと思っているとトライ&エラーが延々と続いていくのです。
　

　ただ、どこまでトライ&エラーを続けるのかは人それぞれのように思います。個人の性格が出ると言いますか、私が見て〝その程度で良いの？〟と思う人もいれば〝そこまでやるの？〟と思う人もいます。趣味でやるなら個人の感性で構わないと思いますが、仕事としてやるとなるとお客様のニーズに応えられるものでないといけません。しかし、どのくらいで終わりにするのが良いのかは一律に決められません。様々な事情が関係してくるからです。ただ制作者としてはお客様の期待を裏切らない作品を作ることが求められており、単純に個人の感性に任せるわけにもいかないと思います。