恋愛と幸せ

　恋人となる人を外見で決めようとするのは、多くの異性から特定の一人を選ぶための効率の良い方法であることは何となく理解出来ました。しかし、ウェルカムドールたちに謎はまだ残ります。
　

恋愛の不思議

　「最初に外見で判断する方が効率が良いことは理解できたけど、その時点で〝絶対この人でなきゃイヤ！〟って思い込んじゃう人も多いよね。それって中身を精査しようとしていないってことだと思うけど。」
　「中身が大事なのは分かっているのに、外見の好みでその大事なことを放棄しようとしていることになるもんね。」
　「むしろ中身が大した人でないのに外見が好みだと〝この人は本当は良い人なんだ〟って信じたがるね。」
　「周りの人の忠告も耳に入らなくなっていたりして。」
　「そういうのって良い遺伝子を残そうとする本能に反している気がするけど。」
　「外見さえ良けりゃ良いんだっていうのが本能だったりして。」
　「その家系はずっと昔から美男美女なのかもね。」
　「いや、そもそもその人自体が美形じゃないんじゃないの？。」
　「恐らく外見ですごく好みの人が見つけられたら、中身の精査は省いた方が更に効率が良いからじゃないかな。全てにおいてパーフェクトな人を探すとなるとこれもまた時間が掛かるでしょ。それにその人を逃したらもうその人以上に好みの人が見つからないかもしれないから、自分にとって都合の良い解釈をするようになるんだと思うな。」
　「それは無意識でそうしているってこと？。」
　「そうだね。脳が外見だけで〝よし、この人にしよう〟って決めちゃうんだろうね。そして〝外見が優れている〟という遺伝子を早く残したがる。もちろん自分の意識では脳が勝手にそう決めたなんて気付いていないよ。」
　「もう決めちゃっているからその人の欠点を見ても正しい判断が出来なくなっているんだね。」
　「あばたもえくぼ状態。」
　「友達の正しいアドバイスにも〝あの人のことを分かっていない〟なんて耳を貸さなくなってる。」
　「冷静に考えればギャンブル好きの人と結婚したら家計のやりくりが大変だろうって思うけど、そこは〝結婚したら止めてくれるはず〟とかの都合の良い答えを自分で用意しているんだね。だからデートで競馬に行って一緒に楽しんじゃったりして。」
　「で、結婚してから〝ああ、何でこんな人と…〟ってことに。」
　「結局恋愛って遺伝子を残すための効率化されたシステムなんだね。」
　「そう考えると全然ロマンチックじゃないな。」
　「でも自分の好みの人が簡単に恋人になるわけじゃないよね。どんな形で好きになったとしても、一方的な思いから相思相愛になるまで、そしてなってからの過程に多くのロマンがあるんじゃない？。効率化されることで恋する機会が増えればその分だけロマンチックな気分になれるってことだと思うよ。」
　「ロマンが増えるのは良いね…、正しい判断が出来るのなら。」