選ばれしものの運命はいかに

　ウェルカムドールは生まれながらに選ばれしものです。でも将来を約束されたわけではありません。不吉なことを言うようですが…。
　

未来は明るい…はず

　そうです。幸せな2人に求められて、ウェルカムドールの未来は約束されたようなものです。記念すべき結婚の思い出としていつまでも大切に2人の部屋に飾られていることでしょう。それが通常のエリートコースです。
　

　でも中にはエリートコースから脱落してしまうものもあるかもしれません。ご主人様の不仲（ないことをお祈りします）が原因であるとは限りません。そもそもドール本来の持つ力が弱かったのかもしれません。既製品のテディベアなどのウェルカムドールであれば、完成品を見て気に入ったものを選んでいるので期待外れなんてことはないでしょう。価格に見合った満足感はあるはずです。
　

　まあ、「本当はあっちの方が良かったけど予算が合わなかったのでこっちで我慢した」という場合には若干テンションが下がるでしょうね。でも「本当はあの人が良かったけどフラれたのでこの人で我慢した」という結婚でも、一緒に暮らしてみると案外「この人と結婚して良かった」ということも多いようです。逆に第一希望と結婚していたら「なんだ、こんな人だったんだ…」とがっかりしたという話も良く聞きますし。私も「あなたって、そんな人だったんだ」と言われることが何度かありました（恋人からとは限りませんよ）。何も悪いことはしていないはずなんですが…。不思議なことに、まだ妻からは言われていません。初めから期待されていなかっただけかもしれませんが。
　

期待外れ、がっかり…

　そうです。一番怖いのは「がっかり」。「2人にそっくりのウェルカムドール」を注文したけど、出来上がったものを見て「がっかり」です。オーダーメイドだとオンリーワンのものが手に入るメリットはありますが、期待外れになるかもしれないというデメリットもあります。通販だと同様のものを手に取ってみることは出来ず、ネット上の画像で商品の良し悪しを判断しないといけません。ほとんどのショップは返品不可です。そのくせ結構高価。既製品の10倍くらいなら安い方かもしれません。制作上ほとんどの工程が手作りになるので仕方がないのですが。
　

　そのがっかりのウェルカムドールの将来はどうなるのか。思い出の品だとしても「がっかり」からのスタートなので、行く末は不安です。とりあえずパーティーの受付に立たせてみましたがゲストの反応はイマイチ。「誰？」「似てねー」と言われては立つ瀬がありません。まあ、そこまでひどいことはそうそうないでしょうけど。でも思い出の品として愛してもらえるのか、それとも捨てられることはないにしてもどこかにしまい込まれて忘れ去られてしまうのか、ご主人様に運命を委ねるしかありません。
　

　出会いの印象がここまで大きく運命を左右するのです。そしてその運命のカギを握っているのがウェルカムドール制作者。そう、私もその一人です…。