マラソン報告６

　まだ17㎞程を残して、何だか足取りが怪しくなってきました。明らかに遅くなっているのが分かります。思ったように膝が上がらず、歩幅が小さくなっています。同じペースで走る前のランナーに何とか付いていくのがやっとです。何とかしたくてもどうにもならない状況です。
　

ついに4時間の…

　木崎湖が右手に見えてきました。家族連れやサークル仲間でカヌーを楽しむ人たちの様子が見えます。湖なので波は穏やかです。のどかな雰囲気の中で趣味を楽しむ様子が羨ましく思えてきます。走る苦しさを紛らわそうとそちらに視線を送りますが、あまり効果は無いようです。カヌーを楽しんでいる人達からは我々ランナーが苦しい表情で走る姿はどのように映っているのでしょうか。
　

　と思っていたら、3時間30分のペースランナーとすれ違いました。第2折り返し地点はまだ随分先のようなので、ここですれ違うと言うことは、かなり離されていることになります。今の自分の状態を考えると、いつ4時間のペースランナーに追いつかれるのかを心配した方が良さそうです。
　

　でも、1㎞6分のペースで走り続けていれば、前半の貯金があるので、追いつかれることは無いはずです。焦ることは無い、と自分に言い聞かせます。ただ、今回はタイムを出来るだけ見ないようにしているので、果たして今自分が1㎞6分のペースを維持できているのか、不安になります。
　

　やっとの思いで28㎞手前の第2折り返し地点を折り返します。木崎湖が左手になります。そして私の走りはというと、もうかなりきつい状態です。足取りは更に重くなっています。しかし、何とか4時間は切りたいとの思いがあるので走り続けています。
　

　すると思いのほか早く4時間のペースランナーとすれ違いました。その瞬間に、抜かれるのは時間の問題であることを悟りました。今回の目標は「良ければ3時間30分、悪くても4時間を切る」です。走ってみないと分からないと思いつつも、練習では4時間は切れる手ごたえ（足ごたえ？）を感じていたのです。足取りが重くなってもそれなりに走り続けていられたからです。しかし、実際に今はどうでしょう、30㎞にも達していないのに全く足が前に出ない状態です。ここまでひどいことは想定外でした。
　

　29㎞を過ぎたところで、恐れていたことが起こりました。4時間のペースランナーに抜かれてしまったのです。当然、付いていく足は残っておらず、あっという間に置いて行かれました。その現実を受け入れたことで、気持ちの糸が切れました。苦しいながらも走り続けていた足を30㎞手前でついに止めてしまったのです。
　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・つづく