世界人口デー

　今日7月11日は世界人口デーです。1987年（昭和62年）の今日、世界の人口が50億人を突破しました。それを記念して1989年（平成元年）に国連開発計画の運営評議会によって制定されました。更に翌年の1990年（平成2年）に国連総会で国際デーとしても正式に制定されたのです。
　

世界で50億人目の子供？

　国連はユーゴスラビア（当時）のザグレブ（現：クロアチア首都）で生まれた男の子を50億人目と認定してデクエヤル事務総長（当時）がかけつけて祝福したそうです。
　

　こういうニュースを聞くと私は違和感を覚えます。50億とはただの数の単純な積み重ねの一部にすぎないのに何が特別おめでたいのかが分かりません。50億人目になるために母親や子供が頑張ったわけでもないでしょう。世界が10進法を選択しているから切りが良い数字というだけです。50億人目も50億1人目も誕生したおめでたさは同じです。
　

　更に祝福された男の子が本当に50億人目なのかも怪しく感じます。全世界では毎日数えきれないほど多くの赤ちゃんが誕生しています。何日の何時何分に生まれたかという事実は病院などで出産する場合には記録として残りますが、医療設備が満足に整っていない地域や紛争などの特別な状況下での出産など正確な記録として残らないケースも数多くあると思います。記録として残されているデータで50億人目と判断できたとするならば、逆に正確には50億人目ではない可能性が大きいわけです。50億人目を特定する必要があるようには思えません。
　

　このような祝福は大人の都合による勝手なデモンストレーションだとしか思えません。
　

地球とがん細胞

　世界の人口は1999年（平成11年）に60億人を突破しており、2100年には91億人にもなると予想されています。しかしその一方で日本の人口は既に減少を始めています。今年1月1日時点の国内の日本人は1億2477万6364人で、前年から43万3239人減少しました。減少は10年連続だそうです。少子化傾向には歯止めが掛からず、今後も減少は続くでしょう。2100年には9000万人を下回ると予想されています。
　

　日本の少子化、人口減少は憂慮すべき問題です。では、世界人口の増加はおめでたいことなのでしょうか。人口が増えれば増えるほどエネルギー問題は深刻です。地球の資源には限りがあります。一人一人が省エネを心掛けても全体数が増えればエネルギー消費量全体を減らすことは難しいでしょう。いずれは地球の資源が枯渇して人類が滅びることになると思います。恐らく多くの人は心の片隅にその不安を抱えているのではないでしょうか。ただまだしばらくは大丈夫だろうと考えて現実から目をそらすようにしているように感じます。私のその一人かもしれません。
　

　私は地球も太陽も宇宙の中の生命体だと思っています。いずれは命が尽きる時が来るでしょう。人間の身体の中の正常だった細胞ががん細胞になるように、我々人間は地球のがん細胞になってしまったのです。地球の身体の一部であり自然環境と共生して地球の健康に役立っているはずだった人間は、その身勝手な振る舞いにより、いつの間にか地球を死に至らしめる存在になってしまったのです。
　

　最近、世界的な異常気象や自然災害が多いのは、地球が自分の体内に宿ったがん細胞と戦っているからなのかもしれません。我々ががんに侵されたら治療に徹するように地球も治療を開始したのです。がんと闘って克服する人もいれば死に至る人もいます。地球対人間はどうなるのでしょうか。たとえ人間が勝っても地球が死ねば人間も滅びます。がん細胞の運命はそういうものです。人間が生き延びるには、地球にとってがん細胞という存在ではなくなる道を自ら選択するしかないのではないでしょうか。