恋愛と幸せ

　敢えて自分が嫌われることで相手の幸せを優先する、それが優しさである。言うのは簡単ですが実際に行うのは難しそうです。ウェルカムドールたちはそう思っています。
　

優しさとは？

　「相手を傷付けないために自分が嫌われ役をするって何か偽善的な感じがするけど。」
　「結局は相手の将来に責任を持てなくなったから自分から恋愛関係を降りたわけでしょ。相手を傷付けないように別れるのは当然だし、もともと自分が悪者なんだから嫌われて当然なんじゃない？。」
　「本当に相手には何も悪いところはないのかな。例えば自分から買って出た仕事をやってみたら、とても難しくて思った程面白くないので自分には無理だからやっぱり辞めますって言う場合は非難されて当然。責任の多くは自分にあるよね。ただそういう場合だって会社側に任命責任はあるんだよ。その仕事に適任と言えない人を選んでしまったんだから。」
　「見る目がなかったってことだね。」
　「明るい職場、快適環境、軽作業と言われて就職したらブラックだったってこともあるし。」
　「その場合は会社に問題ありだね。」
　「恋愛関係の場合だってお互いに相手を選んでいるのだからどちらか一方だけに全ての責任があるとは言えないと思うんだ。〝あなたは今日から私の恋人になりなさい〟って命令されて自分の意志に反して仕方なく従った訳じゃないでしょ。」
　「好きな人から命令されたらうれしいね。」
　「どういう理由で別れることになったとしても、またどちらの立場に立っているとしても、自分を捨てるような人を選んでしまったのは自分だし、自分に別れを決断させる人を選んだのも自分。別れる相手を選んだ責任は両者にあるんだと思うんだ。」
　「責任の割合を換算するのは難しいな。」
　「別れたいと思った方が相手に告げる、そしてフラれた方は傷付く。普通ならそれで終わっても仕方がないのが恋人関係。だからフラれたと思わせないようにするところに意味があると思うんだ。」
　「相手を傷付けないように別れるのは当然と言っても、自ら嫌われるように振る舞うことは簡単に出来ることではないよ。人間は周りから良い人に見られたいって思いがあるから。別れてから悪い素行を吹聴されるかもしれないし。」
　「敢えて悪い素行をする時でも誰かには分かってもらいたいって思いはあるもの。でもそれも誰にも求めないところに潔さがあるように感じる。」
　「ただ、何が優しさなのかは人によって捉え方が様々だと思うから、それぞれが自分の優しさの表現方法で行えば良いと思うよ。」
　「〝優しさとはこうあるべき〟というものではないんだね。」