恋愛と幸せ

　恋愛しない、しようと思わない人が増えている、そう聞いてウェルカムドールたちはちょっと不思議に思いました。
　

恋愛しない人

　「〝私は恋愛をしません〟って敢えて宣言するのは何故なんだろう。別にしたくないならそれで構わないけど、周りにわざわざ言わなくても良いんじゃないかな。」
　「そうだよね。敢えて言うというのは〝私はみんなとは違うんです〟と言いたいんだろうね。」
　「やっぱりそこには〝そんなくだらないことに時間を潰すような馬鹿なことはしませんよ〟というようなニュアンスが感じられるな。」
　「LGBT（性的少数者）が〝私のことを理解して〟って言うのとは違う感じだね。」
　「でももしかしたらアセクシュアルなのかもしれないよ。」
　「アセクシュアルって何？。」
　「日本語では無性愛って言って、他者に恋愛感情や性的欲求を抱かないことなんだ。LGBTと同じく性的少数者だよ。こういう人たちは本当に恋愛をすることはないんだって。」
　「もしそうだとしても、本人は気付いていないかもしれないね。」
　「恋愛をするとかしないとか言っているということは、恋愛はしてしまうものという本質を理解していないように感じるね。20代になっていることを考えるとアセクシュアルの可能性は否定できないな。そして恋愛している人を見下すような言い方をしているところを見ると気付いていないんだろうね。性的少数者のカミングアウトとは違う感じを受ける。気付いているのならもっと違う言い方をしていたと思うな。」
　「もしアセクシュアルだとして、彼女の周りに集まっている〝同士〟も皆アセクシュアルとは限らないよね。」
　「逆にそうでない可能性の方が高いね。」
　「それならいずれは皆恋愛して離れていってしまうのかも。」
　「どうなるんだろうね。でも彼女を理解してくれる人は必ずいるよ。ただ心配なのは彼女自身が自分と違う人を排除しようとしないかってこと。そんなことをしていると自ら孤立するようなもの。今は見下すような発言をしているけど、人間なんて皆どこか違うところはあるんだから、それを認められるようになってほしいな。」
　「逆に自分は少数派だからって卑下している人もいるんだろうね。」
　「そうだね。いつの時代も多数派が尊重されやすい風潮があるからね。しかもアセクシュアルのように認知度が低いと理解してもらうのは大変だろうな。」
　「この女性の場合は卑下するどころか自分の方が立派であると思っているようなので、ある意味たくましいよね。周りと違うことが原因で本人が社会的不利や中傷を被ることがないのなら少数派でも問題はないと思う。恋愛しなくても幸せになることは出来るのだから。」