台風一過

　台風17号は温帯低気圧に変わり石川県を過ぎ去りました。我が家の周りでは大きな被害は無さそうですが、金沢市内ではところどころで倒木があったりしたようです。能登地域では倒木による停電も起きましたが、すでに復旧しているとのことです。更には能登半島北端の珠洲市では今年3月に開業したばかりの図書館のトタン屋根がはがれる被害も出たようです。
　

原因の究明と発想力

　同じ能登半島の輪島市で観測した最大瞬間風速は31.2mでした。台風時の最大瞬間風速としては特に強いものではないと思います。新築の図書館の屋根がはがれたのは、もちろん強風だったことは要因の一つでしょう。ただ、設計上は台風時の強風も想定して構造計算しているので、その程度の風速ではがれることはないはずです。風が竜巻のような想定外の吹き方だったのか、あるいは施工不良だった可能性も考えられます。休館日で利用者がいなかったためこのことで負傷者が出なかったことは幸いでした。
　

　このように予想外の現象が起きたときに、その原因を究明することは大事です。特に物作りをしていると、想定外のことが起きることは時々あります。図書館を設計した人や施工した人達もまさか屋根がはがれるとは思いもしなかったことでしょう。築後何十年も経過して老朽化していたのならともかく、まだ開業後半年なのですから。
　

　ただ、一口に原因究明と言っても、それは簡単なことではありません。物作りをしていると「なぜ失敗したのだろう」ということは良くあります。答えが簡単に見つかる場合もあればそうでない場合もあります。そして「どうしたら上手くできるだろうか」の答えも同様です。単に未熟なだけなのであれば、経験を積むことで上手くできるようになるでしょう。それはスキルの問題であり、習い事などはそういうものです。
　

　しかし、スキルではなくアイデアの問題の場合はそうはいきません。思い付くやり方を試して答えを見つけるしかないのですが、失敗を重ねればいつかは答えに辿り着けるかというと、そうとも言えません。その逆に一発で良い答えを見つけられることもあるでしょう。そこは問題の質の違いだけではなく、人それぞれの発想力の違いが大きいように思います。
　

　発想の豊かさは天性のものによるところが大きいと感じます。ただ、経験により補えるところも多いと思いますので、私のような凡人は経験を増やすことが必要です。それと同時にものの見方に偏りがないことも大事です。今回の図書館の屋根の記事を目にした時に「施工不良なのでは？」と安易に思った私は見方が偏っているようです。もっといろんな視点から原因を考えられるよう、柔軟な発想が出来るようになりたいと思います。