時の記念日

　今日6月10日は時の記念日です。時間の大切さを尊重する意識を広めるため、1920年（大正9年）に東京天文台（現在の国立天文台）と生活改善同盟会が制定しました。
　

時の流れに身を任せ…

　年齢を重ねるごとに時間の経つのが早く感じます。30代の時は20代よりも、40代になると30代よりも、50代になると40代よりも更に1年が過ぎるのが早いです。この10年、20年はあっという間に過ぎた感じです。これから先ももっと早く感じるのかと思うと人生なんてあっという間に終わってしまうのかなと思います。
　

　それだけにもっと1日を有意義に時間を大切にして生きていかないといけない、などと思うのですが、最近はもしかしたらもっとボーっと生きても良いのではないか、何もしない時間がもっとあっても構わないのではないかとも感じます。
　

　時間を大切にしましょう、とは1日のうちで出来るだけたくさんのことをしましょう、ということとは違う気がします。起きている時間の中でこれだけいろいろなことをしている動物は人間だけなのではないでしょうか。動物が一生のうちに行うことは食べることと寝ることそして子孫を残すことくらいだと思います。食べるためには狩りなどをしないといけないわけですが、それが人間の仕事に相当します。仕事をして家族が生きていけるだけ食べられればあとは寝るだけです。子供が成長して独り立ちすればそれでお役御免です。
　

　人間の場合はそれだけでは満足できずに〝生きがい〟というものを求めます。それは人によって仕事だったり趣味だったりします。生きている喜びを何かに見出そうとするのです。そして最近はその生きがいが優先され過ぎている気がします。〝あれもしたい、これもしたい〟という人間特有の欲望が強くて動物本来の生き方の大切さが忘れ去られているように感じます。人間も動物の一種であることを改めて見直す時期なのではないでしょうか。人間の貪欲さが過剰になり過ぎて社会に歪みが生じているように思います。
　

　時間は全ての人に公平に与えられています。その中で何をしようと個人の自由です。ただし〝他の人に迷惑を掛けなければ〟と言う前提があります。果たして自分の生き方は誰かに迷惑を掛けてはいないのでしょうか。今だけではなく未来の人達のことまで考えて。
　

　自分が生まれてきたのは過去の人達のお陰です。自分が今生きているということは過去の人達が代々受け継いできた流れを継承しているにすぎません。そしてまた形を変えて未来に継承することを求められている気がします。そのようにして歴史が作られていくのです。自分という存在は時の流れの中のほんの一部分でしかありません。その流れに逆らうがごとく個人の自由を優先させすぎると未来に何らかの弊害を生じることになるのではないかと思えてきます。
　

　あれもこれもと欲張るのではなく、時の流れに身を任せて一日一日をゆったりと過ごしていくことが時間を大切にするということなのではないか、と思う今日この頃です。