そっくり人形作りの公式

　オリジナルの人形を作っていて難しいと思うことは、全て自分で考えないといけないことです。他の人形作家さんとは違う作り方なので同じように真似をして解決するということが出来ません。ある程度参考にすることはありますが、同じやり方をしても上手くいかないことが多く、結局自分で解決策を見つけることになります。
　

やっつけ仕事にならないように

　そもそも他の人形作家さんがどのようにして作っているのかを知ること自体が難しいです。ただ粘土で形作って乾燥させて色を付けるという工程が少ない制作方法でも多くのコツが必要なのだと思います。やり方が分かったからと言ってすぐにプロ並みの仕上がりに出来るとは思えません。何体も作ることでレベルが上がるものです。
　

　お客様の多くは定型の人形ではなくオリジナルのオーダーのご希望をお持ちです。定型の人形をベースにして〝ここをこうして欲しい〟とか〝〇〇のような感じに出来ないか〟と問い合わせを頂くことは珍しくありません。オーダーメイドなのですから当然です。出来るだけそのようなご希望に応じています。
　

　そういうご希望に沿うためにはいつもと違う作り方をすることになります。そうなると私がやったことのないことも出てきます。今までのやり方を応用することで対応できることもあれば、一から考えて新たなやり方を創造することもあります。やってみて上手くいかなければ他の方法を試すことにもなります。上手くいったとしても仕上がりがプロのレベルに達していなければ再度同じことをやって精度を上げる必要があります。トライ&エラーです。
　

　そのため良い人形を作るには納期に余裕がないと難しいです。どのような仕事でもそうだと思いますが、時間に余裕がないときの仕事は〝やっつけ仕事〟と言われ、雑だったりいい加減だったりして内容の評価は良くないでしょう。取り敢えず間に合えば良いというレベルのものです。納期最優先という考えならそれも仕方ないかもしれません。しかし、そのような人形を作るわけにはいきません。
　

　物作りは何が起きるか分かりません。いつもと同じことをしていてもアクシデントは起きるものです。まして今までやったことのないやり方をする時には順調にいくことを想定して納期を決めては上手くいくとは思えません。必ずどこかで躓くことを予測して余裕のある納期を設定しないとやっつけ仕事になりかねません。お客様としてはすぐにでも人形を手に取りたいでしょうが、その辺の事情を察してのんびりとお待ちいただけるとありがたいです。