そっくり人形作りの公式

　仕事としてそっくり人形を作るにはそれを買いたいという人が必要です。勝手に誰かのそっくり人形を作って〝あなたにそっくりなのでお金を支払ってください〟と言うわけにはいきません。でもお客様の立場で考えると、どのくらいそっくりに出来上がるのか分からないものを簡単に注文するわけにはいかないと思います。
　

オーダーメイド商品の販売方法

　通常買い物をする時には売り場に陳列されている商品を手に取ってみて自分のニーズに合っているかを確認できます。そしてコストとの関連を考慮して購入するかどうかを判断します。ですから自分のイメージと全く違う商品を購入してしまうことはほとんど無いと思います。しかしそっくり人形のような個人に合わせて制作するオーダーメイド品は購入を決める時に完成品そのものを確認することは出来ません。実際に完成品を手にしてみたときに〝思っていたようなものではなかった〟と感じる方もいると思います。
　

　実際に出来上がったものを見てから買うか買わないか判断出来たら良いと思うのですが、なかなかそうもいきません。もしも完成したものを購入してもらえなかったら他の人に購入してもらうことは困難だからです。いわゆる〝潰しがきかない〟という商品です。作っても注文主からお金をもらえなかったら赤字になります。ですからそっくり人形の業界では注文時の入金と返品不可が通常の販売形態です。
　

　ただ、お客様にしてみたら〝思っていたものと違うものにお金を払うのは納得できない〟と思うでしょう。そっくりに作ると言われたのにそっくりだと思えなければそれは当然だと思います。私も日常生活では消費者の一人なのでその思いは理解できます。しかし制作者としてはそっくりに作ったはずなので〝そっくりではないからいらない〟と言われても困ってしまいます。そのイメージのギャップを埋めるため完成後でも無料で修正を受けています。現時点ではそれがベターな方法だとは思いますが、決してベストだとは思いません。
　

　お客様も制作者も共に納得できる販売方法が他にあるのではないかと思案しています。現在考えているアイデアはありますが、実現するには課題もあります。いずれは今とは違う形に変えたいとは思っています。