家族の日

　今日は11月の第3日曜日なので、家族の日です。子供を家族が育み、家族を地域社会が支えることの大切さについて理解を深めてもらうことを目的に、2007年（平成19年）に内閣府が制定しました。また、この日の前後1週間を「家族の週間」としています。今年は11月10日～11月23日です。
　

　これは少子化対策の一環として定められたものです。子供や子育てをする家庭を社会全体で支えていこうという趣旨であり、子育て世帯と地域とのつながりが大切であることを呼び掛けているのです。
　

家族の素晴らしさ

　現実は呼び掛けも虚しく少子化は進行するばかりです。子育てしやすい環境になっているのかというと実感できない人が多いのではないでしょうか。逆に子供を育てることがリスクと捉えられる傾向が強くなっているように感じます。結婚もリスク、育児もリスク、だから一生独身の方が気楽、という考えに至りやすいようです。
　

　現代は一人でいても楽しく暮らせる時代です。やりたいことを好きなだけしていても、周りに迷惑を掛けなければ文句を言われない世の中です。そのような風潮の中、家庭に縛られているのがバカバカしいと考える人も多いようです。配偶者という他人に縛られる不自由、子育てで自分の時間が全く無くなる不自由、そんな不自由さから解放されて自分の好きなように生きる、それが最高の生き方だと信じている人も少なくないのではないでしょうか。
　

　私もかつてはその一人でした。結婚するとは思っていなかったですし、まして自分が子供を育てることなんてできるとは思えなかったのです。自分が生きていくことだけで精いっぱいだったのですから、家族を持つ責任感なんてある訳がありません。やりたいことを我慢して家族のために生きていくなんて想像できませんでした。
　

　しかし、実際に結婚し、子供が出来てみると、それが当たり前になってしまいます。何となく自然とそうなるのであって、特別に無理する必要はありません。何かをとても我慢しなければならないとか、縛られているとかいう思いもありません。頭で難しく考えていたのが馬鹿らしいほど、あっけなく父親になった感じです。
　

　むしろ、もう二度と独身には戻りたくないと思っています。子供がいる生活の素晴らしさを知ってしまうと、独身生活の単調さ、寂しさがどれほどのものかが分かります。もしも一生独身だったら、この幸福感を知らずにいたのです。今でも一人で起きて、一人でご飯を食べて、一人で寝ている、そんな生活を続けていたはずです。そして死ぬまでその生活が続くのです。そう思うと怖くなります。
　

　子供はいずれは親から離れていきます。そのことを捉えて「人間は最後は独りになる。ならば一生独りで暮らすのと同じ」という人がいます。でもそれは違います。離れて暮らしても、疎遠になっても、家族という絆は決してなくなるものではありません。私が自分の親とそうであるように、私と私の子供もたとえどちらかの命が尽きたとしても、絆は永遠に残ります。そしていつまでも心の支えになっているのです。
　

　今後私たち家族がそれぞれどのような人生を送るのかは分かりません。もしかしたら何らかのきっかけで子供から疎まれて二度と会えなくなるかもしれません。たとえそうなったとしても、私は今までの生活の中で、妻と子供たちからおつりがくるほどの幸せを与えてもらっています。それほどに家族を持てたということは、私にとって素晴らしい経験として残っています。
　

　家族を持つことは決してリスクなんかではありません。家族によって私の人生はとても豊かで輝いたものになりました。妻と子供たちには感謝の気持ちでいっぱいです。