星の王子さまの日

　1900年（明治33年）の今日、〝星の王子さま〟の著者である作家で飛行士のアントワーヌ・ド・サン＝テグジュペリがフランスのリヨンで生誕しました。そのため今日は星の王子さまの日となっています。
　

目に見えない大切なものとは

　星の王子さまの本は子供向けのように捉えられがちですが、大人が読んでも作者が訴えたいことは何なのかはっきりとは分からない難解な、そして奥が深い内容だと記憶しています。生きる上で大切なことは何なのか、そして死ぬと言うことはどういうことなのか、などそれぞれの答えを自分なりに考えることを求められている気がします。
　

　いつの時代でも生きること、死ぬことについて多くの人が悩みそして正解を求め続けているのではないでしょうか。しかし、そこには全ての人に共通する正解など無いのかもしれません。それを承知で敢えてサン＝テグジュペリは一つの指針として自分自身の解答を示唆しつつも、最終的には読者自ら答えを見出すように求めているように感じます。
　

　星の王子さまの言葉に〝本当に大切なものは、目に見えない〟というのがあります。その言葉に共感する人は多いのではないかと思います。特に人生経験を積めば積むほどそう思えるように感じます。しかしそう思っているはず、なのに実際には目に見えるものに拘ってしまう人が殆どなのではないでしょうか。
　

　自分にとって本当に大切なものとは何でしょうか。ありふれた言葉になりますが〝愛〟という人は多いかもしれません。でもその愛ですら実際には形を求めている気がします。愛する人のために尽くしているのにその人が全く見向きもしてくれなければ落胆する人は多いでしょう。落胆するのは相手からの感謝の言葉や態度という形で見返りを欲しているからだと思います。自分が愛だと思っているものは、もしかしたらただの欲望なのかもしれません。お金が欲しい、おいしいものが食べたい、などと同じような…。
　

　自分の子供が一番大切だという親は多いでしょう。でも子供は人間という形として目に見えます。星の王子さまの言葉とは反しているように思えます。でも我が子が本当に大切だというのは偽らざる思いでしょう。子供の容姿は偶然の結果です。違う日に生まれたら違う容姿だったでしょう。それは兄弟姉妹が全く違う容姿であることから明らかです。親が大切だと感じているのは我が子の姿かたちではなく〝自分の子供〟という意識です。我が子との間には何物にも代えがたい絆があるのです。絆は目に見えません。我が子がよその誰よりもいとおしく感じるのは絆があることを感じるからなのではないでしょうか。そして我が子も自分のことを他の大人とは違う特別な存在として慕ってくれていることを感じられることが何よりも幸せなのです。
　

　親と子の間には間違いなく〝目に見えない本当に大切なもの〟が存在しています。たとえ子供が親の思い通りに育たなくても〝大切なもの〟は消えてなくなるわけではありません。ただ、親が自分の思いに拘り過ぎると子供は〝大切なもの〟を疎んじるようになるでしょう。〝大切なもの〟は目に見えないので、親が気付いた時にはすでに子供との間にあったはずの〝大切な物〟は消えて無くなっているかもしれません。そうならないように親としてどう接すれば良いのかしっかり考えるように、と星の王子さまから課題を出されているように感じます。　・・・答えはまだ見つけることが出来ませんが…。